はじめに

 まずはじめに,ペン入力研究談話会設立の主旨とその進め方について紹介します. なお,この紹介文は 1993年7月16日に配布された設立案内(東京電機大学守屋教授著) に掲載されたものに若干の修正を加えたものです.


研究談話会の設立,その背景と主旨

 計測自動制御学会ヒューマン・インタフェース部会の中にペン入力に関する研究談話会を設立し, l993年9月から活動を開始します.ペン入力システムまたはペンコンピュータは,ペンだけで全操作を行うという, しかも,携帯して使うという,ヒューマン・インタフェースにおける新分野を拓こうとしています.  すでに市販されている携帯型の電話やファックスや電子手帳などと,組みにして使うことも考えられます.

 また,パーソナル(時計や電卓や携帯テレコのように)かつインタパーソナル(電話やファックスのよう)な新しいメデイア機器として, 大きな期待が寄せられています.これらの機器は,21世紀に向けて巨大な市場を形成していくことでしょう. このような状況にも関わらずペン入力に関して議論する場がこれまではありませんでした. ヒューマン・インタフェース部会ではペン入力をテーマとした研究会をこれまでに二回開催してきました(第1回は1991年7月,第2回は1993年7月)が, この研究談話会では「より頻繁かつ定期的に」という声に応えていきます. これまでの研究会では研究発表を中心とした講演・討論という進め方をとって来ましたが, この研究談話会では「インフォーマルな本音・本質論を」という声に応えていきます. しかしながら講演・討論という進め方を排除するものではありません. より頻繁かつ定期的に,インフォーマルな本音・本質論または講演・討論を実施していくということは, 研究会のような場合もあり,談話会のような場合もある,ということを意味します.  これが研究談話会と称する所以です.


研究談話会の進め方

 ペン入力とペンコンピュータの全分野を視野に入れ,様々な話題をとりあげて議論します. 話題の例として次があります.ペン,タブレット,デイスプレイ,インク,ペンOS, アプリケーション, グループウエア,ペン技法,認識と理解技術,圧縮伸張技術,インクとテキストやグラフィックなどとの関係, インクの表現形式とデータベース,通信網,移動体通信,モービルコンピューテイング,全世界規模の通信サービス, 内部メモリ,外部メモリ,電源,アーキテクチャ,ペン入力用CPUなどです.

 これらを次のような観点,すなわち,ペン入力の基礎づくり時代と現在,ペン入力の位置づけと標準化, ペン入力のあるべき姿,ペン入力の課題,ペン入力の将来,などの観点から議論します.

 談話会の場合には,ペン入力に関する本音,ペン入力の本質や本来あるべき姿,そして,そもそもペン入力とは, といった内容を肩の力を抜いて話し合います. 議論や話し合いの成果は原則として公開します.

 参加はどなたも自由です.開催の当日,会場においで下さい.参加申込も不要です. この分野,すなわち,ペン入力とペンコンピュータと携帯型情報機器などの分野について真剣に考える技術者,研究者, 利用者,経営者など広範囲の方々の参加をお待ちします.ハードウエアとソフトウエア,また,コンピュータと通信, 人文・社会科学と自然科学など,専門分野を問いません.